この記事の要点
  • 相手が住居費を払っていても、現金での生活費が不要とは限りません
  • 家賃と住宅ローンでは、確認する契約や負担の性質が異なります
  • 「誰が払うか」と「誰が住むか」を資料で確認することが出発点です

別居後、相手から「家賃は私が払っている。生活費まで渡す必要はない」と言われることがあります。相手が住居費を負担している事実は大切です。しかし、それだけで婚姻費用がゼロになるとは決められません。

婚姻費用には、夫婦と未成熟の子の生活に必要な費用が含まれます。住まいの費用だけでなく、食費、日用品、教育費なども含めて考えられています。制度や請求の時期については婚姻費用の基本記事をご覧ください。ここでは住居費の扱いに絞ります。

まず「誰の住まいに、誰が払っているか」を確認する

同じ「相手が家賃を払っている」という話でも、別居後の住まいによって意味が変わります。あなたと子どもが住む賃貸住宅の家賃を相手が払い続けているのか。それとも相手自身が住む家の費用を払っているのか。最初に分けてください。

さらに、現金の生活費が毎月いくら届いているか、子どもの学費や保育料をどちらが払っているかも確認します。住居費だけを取り出して「もう十分払っている」「何も受け取っていない」と判断すると、実際の負担が見えなくなります。

家賃の支払いと住宅ローンの返済は同じではない

家賃を相手が直接払っている場合、あなたが住居の利益を受けている事情として検討することがあります。ただし、家賃と同じ額を婚姻費用から必ず差し引くという単純な計算にはなりません。双方の収入や別の支払いも合わせて考えます。

住宅ローンがある場合は、自宅の名義、ローンの契約者、返済している人、住んでいる人を分けます。住宅ローンの返済には名義人の資産形成の面もあるため、返済額をそのまま生活費の支払いと同一視することは通常、できません。

算定表は出発点。その後に個別の住居費を見る

婚姻費用の金額を考える際には、夫婦の収入と子どもの人数・年齢に応じた裁判所の算定表が目安になります。ただし、個別の事情によって金額の検討が必要です。住居費の支払いが問題になっているときは、算定表の数字だけ、または相手が示した「差引後の数字」だけで結論を出さないでください。

資料は「支払い」と「入金」に分けて集める

  • 賃貸借契約書または自宅の登記情報、住宅ローンの契約・返済資料
  • 家賃やローンの引落記録、管理費・光熱費の支払記録
  • 相手から届いた生活費の入金履歴
  • 夫婦双方の収入資料、子どもの教育費など特別な支出の資料

相手方の資料を無理に集める必要はありません。手元で適法に確認できる範囲から整理します。「相手が払っているはず」という記憶と実際の引落記録が違うこともあります。

生活費の問題を、離婚条件全体の結論まで待たない

婚姻費用の話し合いができないときは、家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てる方法があります。離婚調停とは別の手続です。請求の時期が問題になることもあるため、離婚条件がすべて決まるまで生活費の相談を先送りにしないでください。

相手への直接の連絡に危険がある場合は、安全の確保を優先してください。自分でやり取りを続ける方には離婚バックサポートプランがありますが、直接のやり取りが難しい場合は代理人を立てる方法を検討します。

今ある支払いとなお必要な生活費を整理しましょう。

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