- 年金分割の対象は、原則として婚姻期間中の厚生年金の記録です
- ご自身の年金見込額と分割後の見込額は別に確認します
- 年金だけでなく、財産分与と住まいの費用を踏まえて暮らしを考えます
「離婚したら相手の年金を半分もらえるのでしょうか」。長く連れ添った後の離婚では、年金が毎月の暮らしを支えるため、この質問は切実です。ただ、年金分割は相手が受け取る年金額を半分ずつにする制度ではありません。
年金分割で分けるのは、厚生年金の記録
離婚時の年金分割では、婚姻期間中の厚生年金の標準報酬記録を分けます。その記録に基づき、それぞれの老齢厚生年金等の額が計算されます。相手の年金の振込額がそのまま半分移るわけでもありません。
分割の方法には、当事者の合意や裁判所の手続で割合を決める合意分割と、一定の第3号被保険者期間についての3号分割があります。どの期間が対象か、どの手続が必要かは加入歴で変わります。
「今の年金」と「分割後の年金」を混ぜない
最初にご自身の年金額または将来の見込額を確認します。まだ受給前なら、ねんきんネットの年金見込額試算が手がかりになります。ただし、通常の試算結果を「離婚して年金分割をした後の確定額」と読んではいけません。
年金分割の対象期間や按分割合を調べるには「年金分割のための情報通知書」を取得します。分割後の見込額を具体的に確認したい場合は、年金事務所に手続と必要資料を確認しましょう。
自宅を持てることと住み続けられることは別
自宅を財産分与で取得できそうでも、固定資産税、管理費、修繕費、住宅ローンの支払いが続くことがあります。反対に自宅を売却すると、売却代金を得る一方で、新たな住居費が必要になります。
まず自宅の名義・おおよその評価額・住宅ローン残高を確認します。そのうえで、住み続ける案と転居する案の月々の支出を比べると、将来が見えやすくなります。財産分与の対象となる財産や負債の扱いは個別事情によるため「家をもらえば安心」とは決めつけられません。
一時的に受け取るお金と毎月入るお金を分ける
財産分与でまとまった金額を受け取る可能性があっても、それは毎月の収入とは性質が違います。離婚後の収支を考えるときは、給与・年金などの定期収入と預貯金・財産分与などの資産を別の欄に書き出してみてください。
離婚前の別居期間には、婚姻費用という生活費の分担も問題になります。婚姻費用の記事でも請求のタイミングを解説しています。
離婚前に確認できる資料
- ご自身の年金記録・年金見込額、年金分割のための情報通知書
- 手元で適法に確認できる預貯金・保険・証券・退職金の資料
- 自宅の登記情報、評価に関する資料、住宅ローン残高
- 住み続ける場合と転居する場合の毎月の支出
全部そろってから相談する必要はありません。「何が分かっていて、何が分からないか」だけでも相談の出発点になります。離婚を決めていない段階でも構いません。
なお、年金分割の請求期限は、2026年4月1日以後の離婚なら原則として離婚等の日の翌日から5年以内、それより前の離婚なら原則2年以内です。期限には例外的な扱いもあるため、既に離婚した方は早めに日本年金機構の案内を確認してください。
退職金については熟年離婚と退職金の記事、離婚手続全体については離婚・夫婦問題のページ、費用が不安な方は初動の弁護士費用の支払いに関するご案内もご覧ください。
