- 相続した実家の選択肢は「住む・貸す・売る」の3つ。放置が一番危険
- 相続登記は2024年から義務化。過去の相続も対象になり得る
- 共有名義と口約束は将来のトラブルのもと
「実家、どうしよう」——練馬で増えている相続後の空き家
親御さんが亡くなり、練馬の実家を相続することになった。でも、自分はすでに別の場所にマイホームを構えている。売るのは思い出があって気が引けるし、貸すのも手間がかかりそう。結局、「とりあえずそのままに」。
練馬区は23区の中でも戸建て住宅が多い街です。桜台、中村橋、富士見台、石神井、大泉……昭和の時代に建てられた一戸建てが、住宅街のあちこちに残っています。そのぶん、「親の家を相続したけれど、どうしたらいいか分からない」というお悩みは、実はとても多いのです。
この記事では、実家を相続したときの選択肢と、「とりあえず放置」がなぜ危ないのかを、できるだけ分かりやすく解説します。
結論:選択肢は大きく3つ。「放置」だけは避けましょう
先に結論をお伝えします。相続した実家の扱いは、大きく分けて次の3つです。
- 自分や家族が住む
- 人に貸す
- 売る
どれが正解かはご家庭の事情によりますが、はっきり言えるのは、「何も決めずに空き家のまま放置する」のが一番リスクが高いということです。
しかも2024年からは、相続した不動産の名義変更(相続登記)が法律上の義務になりました。「とりあえず亡くなった親の名義のまま」にしておくこと自体が、ペナルティの対象になり得る時代になっています。
放置するとどうなる?——3つのリスク
リスク1:相続登記をしないと過料の可能性(2024年義務化)
2024年4月1日から、相続登記(亡くなった方から相続人への名義変更)が義務化されました。原則として、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をする必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料を科される可能性があります。
注意していただきたいのは、この義務は2024年より前に発生した相続にも適用されるという点です。「もう何年も前に相続した実家が、まだ親の名義のまま」という方も対象になり得ます(この場合は経過措置により、原則2027年3月末までが期限とされています)。
リスク2:固定資産税が跳ね上がる可能性
住宅が建っている土地は、固定資産税が大きく軽減される「住宅用地特例」を受けています。ところが、空き家を放置して管理が行き届かなくなり、市区町村から「特定空家等」や「管理不全空家等」と判断され、勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の適用対象から除外され、土地の固定資産税等が数倍になる可能性があります。
2023年の法改正では、倒壊寸前の「特定空家等」に至らなくても、管理が不十分な「管理不全空家等」の段階で勧告・特例除外の対象になり得るようになりました。「まだ壊れていないから大丈夫」とは言えなくなっています。
リスク3:ご近所への損害賠償責任
古い家は、放っておくと確実に傷みます。台風で建物の一部が飛んで隣家の車を傷つけた、ブロック塀が崩れて通行人がケガをした——こうした場合、建物の所有者は損害賠償責任を負う可能性があります。練馬の住宅街は家同士の距離が近いところも多く、「誰も住んでいないから関係ない」では済まされません。
具体例:練馬の実家を相続した3きょうだいのケース
イメージしやすいよう、架空の例でご説明します(実際の事案ではありません)。
練馬の築45年の戸建てにお住まいだったお母様が亡くなり、長男・長女・次女の3人が相続人になりました。3人とも別に持ち家があり、実家に住む予定はありません。
「売るかどうかはそのうち決めよう」と、名義もお母様のまま3年が経過。その間に——
- 庭の草木が伸びてご近所から区に苦情が入り、
- 空き巣に窓を割られ、
- いざ売ろうとしたら、名義変更のために3人全員の実印と印鑑証明が必要なのに、次女が海外赴任していて手続きが進まない
という事態になりました。さらに悪いことに、その間に長男が亡くなると、長男の妻と子どもたちが新たに相続人に加わり、話し合うべき人数がさらに増えてしまいます。
放置は、問題を先送りにするだけでなく、関係者を増やして解決を難しくしていく——これが空き家問題の怖いところです。
3つの選択肢、それぞれのポイント
住む場合:一番シンプルですが、他のきょうだいがいる場合は「実家をもらう代わりに、他の相続人に代償金を払う」といった調整(遺産分割協議)が必要になることが一般的です。
貸す場合:家賃収入が得られる一方、古い家は貸す前のリフォーム費用がかかりがちです。また、一度貸すと、貸主の都合だけでは簡単に退去してもらえないのが原則です(借地借家法)。
売る場合:相続した空き家の売却には、税金が関わってきます。具体的な適否は税理士にご確認ください。売却の前提として相続登記が必要になる点も重要です。
なお、実家に多額の借金などが伴う場合には、相続放棄(原則として相続を知ってから3か月以内・家庭裁判所での手続)という選択肢もあります。ただし期限が短く、一度放棄すると撤回できないのが原則ですので、早めのご相談をおすすめします。
注意点:「共有名義」と「口約束」は避ける
もうひとつ、よくある落とし穴が「とりあえずきょうだいの共有名義にしておく」ことです。一見公平に思えますが、売却にも大規模な修繕にも共有者全員の同意が必要になり、将来それぞれの子ども世代に共有持分が引き継がれると、収拾がつかなくなるケースが少なくありません。
また、「実家は長男が管理するって言ったよね」といった口約束だけで進めるのも危険です。遺産分割の内容は、必ず遺産分割協議書という書面に残しましょう。
まとめ:迷ったら「決める前」にご相談を
- 相続した実家の選択肢は「住む・貸す・売る」の3つ。放置が一番危険です
- 相続登記は2024年から義務化。過去の相続も対象になり得ます
- 放置は固定資産税の増額や損害賠償のリスクにつながる可能性があります
- 共有名義と口約束は将来のトラブルのもと。書面と早めの決断を
もっとも、ここに書いたのはあくまで一般的なお話です。実際にどの選択肢がよいか、きょうだい間でどう分けるかは、ご家族の事情や不動産の状況によって大きく変わります。
当事務所は練馬駅から徒歩5分。実家の相続や空き家のお悩みについて、地域の事情を踏まえたご相談をお受けしています。「まだ何も決まっていない」段階のご相談こそ、選択肢が多く残っているぶん、お力になれることが多いと感じています。
※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。税務については税理士に、登記の実務については司法書士にご相談いただく場面もあります。
実家の相続のご相談は相続・遺産分割のサービスページへ。練馬区の相続については練馬区の相続相談のご案内もご覧ください。相続放棄を検討中の方は相続放棄の期限の記事へ。